GiN's アイリッシュ・ダンスの小話

~レッツ・アイリッシュ・トラディショナル・ダンシング~

Lace The Shoe ? それとも Strip The Willow ?

h6月16日(日) 東京のフェーレで来日した Mick Mulkerrin がワークショップで指導した "Williamstown Set" の 5th フィガー。4人ずつ横にならんで1カップルが端から端まで交互に交差しながら腕を絡めてくるくると回って来るという、とっても楽しい動作があるのですが、ケーリー・ダンスの Haymaker's Jig にも全く同じ部分があります。

www.youtube.comfig.5 9:30~ / 注目!12:30~

この動作は Lace The Shoe (靴紐結び)と習ったものですが、スコテッィシュ・カントリー・ダンス "Strip The Willow" ではそのまんま Strip The Willow と言います。

www.youtube.comHaymaker's Jig 注目!0:55~

二列に並んだ男女を靴紐をかける穴やフックに見立て、リーディングのカップルがそれぞれ紐を結んで行くように見えるので「靴紐結び」とは言いえて妙だなあと思っていたのですが、 "Strip The Willow" を知ってから、柳の葉をはぎ取るとか皮をむくとかこれはいったいどういう比喩なんだと謎の一つです。

www.youtube.com片方の列ともぐるぐるする所から始まるのに意味を持たせてるのかな?

ブリテン方面には Willow について「旅人を悩ます邪悪な木」という伝承もあって、それに関係しているのかなあと思ってもいます。

 

話をダンスに戻すと、ネットで探して見つけた、20世紀初頭のスコットランド貧困層を扱った小説「Land Of The Leal」(著者: James Barke) の中に、「夕食を急いで食べて馬小屋へ行き20分かそこらで Haymaker's Jig や Strip The Willow を踊った」とありました。実はイングリッシュ・カントリー・ダンスにも全く同じ Drops of Brandy というダンスがあるんです。

www.youtube.com曲は高速な " 'Cam ye o'er frae France" を使って楽しそう。

 

前回 Gay Gordons の変遷の旅と流行について考察しました。が、こちらルーツは特定できませんでしたが、この三卵性三つ子のダンス、同時発生的に生まれて広まり、別々のダンスとして楽しまれていたのかもしれません。