GiN's アイリッシュ・ダンスの小話

~レッツ・アイリッシュ・トラディショナル・ダンシング~

Gay Gordons と Chapellois ~ あるフォーク・ダンスの旅(3)

Gay Gordons は19世紀にカップルが単独ないしは少数で踊っていたダンスが元になっているという説があります。であれば野外でもフロアでもばらばらに広がって踊っていたと考えてもよいように思います。下の動画ではカップルが大きな輪になってフロアを反時計回りに進んでいますが、列を離れて中央で踊り出すカップルが何組かいます。

キャンベラの Monaro Folk Society という団体のボールから。オーストラリアのフォーク・ダンスの団体では移民の時に一緒に持ってきたダンスや音楽がそのままの姿で残されているものが多いように思います。

こちらはアメリカ、”The Gay Gordons Polka”というタイトルで見つけたものです。

南北戦争時代のコスプレや習慣を取り入れて楽しむグループのようで、下調べはけっこう念入りにやっているみたい。後半部分が2倍の長さになっているのでじっくりゆっくりダンスを楽しむ人向きですね。

タイトルにポルカが付いているのが何故なのか不思議ですが、「スコットランド起源で”Jenny Lind Polka”という曲で踊られていた」というコメントがありました。当時その形で伝わって名前だけが残ったのかもしれません。この例にはこの動画一つしか遭遇していません。オリジナルのダンスはこちら。少し複雑で楽しそうです。

Polka Jenny Lind - YouTube

アイルランドのセット・ダンス(グループダンス)である Jenny Lind Set(Co.Cork)については脱線し過ぎなので省略しますが、ちなみにジェニー・リンド( Johanna Maria Lind 1820 - 1887)さんとは「スウェーデンナイチンゲール」と称された、19世紀において最も注目を集めた歌手の一人なのだそうです。(Wikipedia

 

さて、前回「ケーリーで変化したバリエーション」への考察を済ませてしまいましょう。「カップルが部屋の壁際に沿って反時計回りに進みながら踊るのが Old Time Dance のパーティのスタイルだと思うのですが、人数が多くてぎっしりと並んで踊っているのもよく見る光景です。そうなると、上の動画で見るような女性がくるくると回ったり、男性がぴょんぴょん跳ねながら進むような踊り方がやり難くなりますね。そこで狭いケーリー会場でも踊りやすい動きが生まれて来たのではないかと思われます。」

この動画には一瞬だけくるくる回るスカートのアップが映ります。元の踊り方も知っている人も大勢いるのでしょう。このようにバリエーションの中には過渡期と思われる折衷されたものも見かけるので、original-style, ceilidh-style(a), のような名前で区別できると、いろんな踊り方ができて楽しいと思います。(一通りでいいじゃん、なんて方もおられるかと思いますが、(^_^;) さあ次は Chapelloise を取り上げますよ。)

 

Gay Gordons と Chapellois ~ あるフォーク・ダンスの旅(4)

Gay Gordons と Chapellois ~ あるフォーク・ダンスの旅(2)

Gay Gordons と Chapellois ~ あるフォーク・ダンスの旅(1)