GiN's アイリッシュ・ダンスの小話

~レッツ・アイリッシュ・トラディショナル・ダンシング~

クロッグ・ダンスの謎を追う(3)

 前回オランダのチューリップ祭りで踊られるダンスから始めたものの、ルーツっぽい地点まで遡ることを忘れていたことに気づきました。実際チューリップ祭りのダンスは1935年に地元の女子高生によって始められ、1950年代に振り付けや衣装などが伝統を踏まえつつ新たに形作られて行ったようです。

 元々は田舎の田園地帯で始まり、宗教的に不信心者たちによって広まって行ったという話を読んだのですが、禁欲主義がダンスのような娯楽を批判するのは何処の国でも一緒ですね。キリスト教では男女がカップルになって接近して踊るのをかなり厳しく叱っていた時代もあるようですしね。ワルツしかりアイルランドでのセット・ダンスしかり。

 より古いクロンペン・ダンスを知るには、オランダの周辺に似たダンスはないか探すことも一つの方法ではあります。実際リトアニアに木靴を履いて踊るダンス~Klumpes~が存在しているのをYoutubeにて発見。リトアニアと言えば北から「フェラーリ」で覚えるバルト3国…の一番南の国。オランダからは1000km以上東ですよ。

 ルーツ的にはどうなのか。もともと儀式でも祭りでもないリクリエーション的な踊りですもんね。普通のヨーロッパの民舞と似たダンスの中で数は少ないですし、余興として残っているだけかもしれません。


 18世紀頃にフランス人とスイス人によって木靴がもたらされたという記事を見つけました。(オランダから見ると一度南へ下りてまた東へ移動してるんですが、行商人などの商業活動や戦争などの政治的要素など調べてみれば面白い事が掴めるかもしれません。)19世紀末には150万足も作られていたという記録もあります。

 作業靴として流行した後、樹木の減少や靴に取って代わられ20世紀に入って廃れたようですが、その間に独自の木靴のダンスが踊られるようになったとのこと。

www.youtube.comwww.youtube.com※前半は司会者が喋っているだけで踊りは一分過ぎから。飛ばして見て下さい。

 "Lasses – lilies, fellows – clovers, let's tap and rap like our brothers did."という言葉でダンスを始めたり、大きさの違う男女の靴を交換して履いたり、投げ上げてぶつけて面白い音を立てたりと、ずい分予想とは違うダンスであるようです。

 舞踊団の監督の言によると「デンマークやオランダなど少数の国でクロッグ・ダンスが踊られているが我々の踊りが一番印象的で聴衆も喜ぶ」のだそうです。う~む。

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クロッグ・ダンスの謎を追う(4)

クロッグ・ダンスの謎を追う(2)

クロッグ・ダンスの謎を追う (1)